第2章 "冷静ではないです"
ふと、目が覚めた。
まだ午前5時、学校へ行くには早すぎる時間。
(とりあえず、お風呂入ろう!)
そう思い風呂場へ直行。
見るとまだ黄瀬くんに押さえられた手首は赤かったが痛みはほとんどなかった。
(黒子くんにキスされたんだよね…)
思い出し、また顔が赤くなるのがわかる。
ぶくぶくとお湯の中で息を吐く。
今日の学校が憂鬱だな…。
そう思いながらお風呂を上がった。
…………
ここは、バスケ部専用の体育館。
私は普段の朝練の時間の一時間前にも関わらず中に入ってしまった。
静かな体育館で私だけの足音が響く。
(なんか、すごい新鮮)
朝の体育館はなかなかいいもの。
早起きは三文の得と言うけど、本当なのかもしれない。
私は用具庫からボールを一つだけ取り出し、
そしてシュート…!
ボールは見事にゴールへ吸い込まれた。
(…やった…!!)
小学校の頃にクラブでバスケをしていたので、ある程度の技術は身につけたつもり。
そしてゴール下へ落ちたボールを拾おうとする、その瞬間。
"パチパチ パチパチ"
拍手が聞こえた。