第2章 "冷静ではないです"
黒子「痛みは引きましたか?」
亜美「え、あ!そういえば…」
私は手首をクルクル回してみる。
先ほどより大分痛みは引いたみたい。
黒子「すみません。あまりにも痛々しかったのでつい。」
そう言ってぺこりと頭を下げる。
亜美「あ、ありがとう!」
私もつられて頭を下げる。
その時にちょっと笑った黒子くんは本当に優しい顔をしていた。
(本当は心配してくれて付いてきてくれたのかな?)
まだまだ黒子くんの事知らないことばかりだけど人間らしい一面もあるみたい。
黒子「亜美さん?大丈夫ですか?黄瀬くんに色々言われてたみたいですが…。」
亜美「うん、大丈夫。心配してくれてありがとう!」
黒子「それならよかったです。では僕はこれで失礼します。また明日。」
亜美「あ、うん!おやすみなさい。」
手を振る。
黒子くんもぎこちなく振り返してくれた。
……………
黒子くんが見えなくなるまで私は見送った。
今まで知らなかった黒子くんの一面…。
それが知れてよかったと思う。
私は門を開け家の中に入る。
亜美「ただいまー…」
当然、返ってくる言葉はない。
親が共働きのため家には一人で居ることが多いのだ。
私は制服が乱れることを気にせずベッドに体を預けた。
今日は色々なことがあってちょっと混乱してる。
今でも黄瀬くんに告白されたのは夢ではないかと思ってしまう。
でもあれから何回ほっぺたをつねっても痛みは感じた。
(もぅ、疲れたよ…)
だんだん意識が遠退いて、私は眠ってしまったらしい。
起きた時には時計の針は午前の5時を指していた。