第16章 しんろそうだん
「というわけで繋心さん、バイトをしてみたいのですが」
「ダメだ」
「やっぱり?」
「受験生だろ、終わってからやれ」
「むむ…」
腕を組んで考え込む。
「そしたらバレー部のマネー…」
「絶対ダメだ」
「えー?」
「他の野郎の世話焼いてるとこ見せんな」
「…あ、今の嬉しい……!
もう一回言って?」
「言わねえよ!!!」
はー、と深くため息をつく。
「そもそもなんでバイトとかマネなんだ」
「将来の夢、お嫁さん以外を模索しております」
「なるほど」
繋心さんは煙草に火をつけると、床に座って私をまじまじと見た。
「小さい頃やりたかったことは?」
「うーん、小さい頃……」
「あ……悪い、お前、あんま前の家好きじゃなかったんだよな。
質問を変えよう」
まだあまり話したことはなかったけれど、繋心さんは割と私のことをよくわかっていて驚いた。
(まあ、家出してるし、そのくらいはバレるかな…)
「ずばり、特技は?」
「フェラチオです」
真顔で答えると繋心さんはぶっと吹き出してそのまま噎せ始めた。
「おま、お前…!!!他のヤツに言ってないだろうな!?」
「え、あー……どうですかねぇ…?」
「あ!!?この前、田中のヤツにニヤニヤ『どっすか?』って聞かれたのお前のせいか!!?」
「あはは、男の子だー」
「笑ってんじゃねえよ……」
はあ、と呆れられ、繋心さんは気だるそうに私に目を合わせる。