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迷い道クレシェンド【HQ】【裏】

第2章 キスとからあげ


嶋田マートで買い物してると、案の定嶋田に絡まれた。
「とうとう援助交際までしてるのか…」
「えん……」
(ヤバい、否定できない…)
「すみません、私の我が儘で1週間だけ置いてもらってるんです…。
あの、内緒にしていただいてもイイですか?」
るるは甘えた声で首を傾げ、少し困った様子で裏表全くない真実を伝える。
なるほど、この方が疑われないし、コイツのおねだりには男は1発KOだろう。
心底感心してしまった。
「何か事情があるんだね、わかった」
さすがである。
あの色気ある仕草でお願いされたら拒否なんで出来ないだろう。
トントンと肩を叩かれ振り向くと、嶋田に
「お前、絶対手を出すなよ…犯罪になるぞ…」
と小声で注意をされた。
「出すかよ!」
誤魔化すように突っ込んだが、正直もう手遅れなのは否めない。
気まずい空気に耐えられず、奥歯をガリガリと鳴らしてしまう。
彼女は計算しながら食材をかごに入れ、賞味期限を確認し、献立をブツブツと考えていた。
買い物に慣れた姿を見てると、学生の身分だというのにほとんど親と暮らしていないか、調理の当番か何かを任されているのか、そのどちらかだろうと見てとれた。
「何にすんだ?晩飯」
「冷蔵庫の野菜がそろそろ危険なので帰ったら煮物にしちゃいますね。
あとは何がいいですか?」
「…なんでも作れんのか?」
「お口に合うかわかりませんが」
少し戸惑ったように返事するが、大体は…と小さく付け足してるるは答えた。
「……からあげ」
なんとなく出た献立だった。
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