第14章 あこがれ
放課後は、体育館の隅でボールが跳ねるのを見る。
その時間が限りなく幸せで、口元を隠さずにはいられない。
私は真剣な繋心さんがとても好き。
気迫に、声に、顔に、目を奪われて離せない。
会ってすぐに怒られた時、私は自分でもびっくりするくらい、ドキドキした。
男のヒトなんて、皆、そういうコトをする為だけに私に優しくするのかと思っていた。
「余裕ぶりやがって!」
顔を赤らめて、本気で怒って放してくれた。
嬉しくて、思わずキスのおねだりをした。
そんなことは、初めてだった。
私はその時に、初めて恋に落ちた、のだと思う。
ビリビリとまるで身体に電流が流れるようだった。
顧問の先生が、いい顔してますね、と小声で言った。
「ですよね!?」
「君のことですよ」
とくすくすと笑われた。
少し恥ずかしかった。