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迷い道クレシェンド【HQ】【裏】

第110章 【番外編】ロマンス


「おーい」
小声で呼ばれる。
どのくらい経っただろう。
「るるさん、起きれるか?」
「………ん」
低い声で名前を呼ばれるの、少し心地良い。
目を開けると、見慣れない黒髪が私の頬に優しく触れる。
「ふぁ……?」
いつもと違うおずおずとした触れ方に疑問があったけれど、人前で恥ずかしいのかなと思った。
私から手を繋いで、優しさが嬉しくて目を合わせると、さっきまで話していた黒尾さんだった。
「っ…!ご、ごめんなさい…!」
慌てて手を離して両手を上げて身体を離す。
「あ、あれ…?」
テーブルを挟んで真ん前からすごく痛い視線が刺してくる。
「席………かわってましたっけ………」
それはもう、小声で言うしかない。
目線は合わせられそうにない。
冷や汗が止まらない。
「俺は、役得だけど」
「あ??」
(怒る…よね!!)
同じワイシャツ姿だったのですっかり見間違えていたようだ。
「間違え、ちゃって…ご、ごめんなさいほんと…恥ずかしいです…」
恐ろしさもあるけどそれもある。
冷や汗は止まらないのに顔は熱い。
「全然、最高」
黒尾さんはなんて優しいのだろう。
にこにことフォローをしてくれた。
更にムッとした表情を浮かべている恋人は怖すぎて見れない。 
冷や汗が止まらなくてぎゅっとおしぼりを握った。

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