第11章 傷痕
家に着くなり、制服を破る勢いで脱がすと、部屋の隅に立たせた。
「ムカつく」
「…っ」
「こうなることくらい、わかってたでしょ?」
「…ごめん、なさい…」
それでも定期的に呼ばれて乱暴にされるより、俺一人に何かされる方がマシ。
あの一瞬でそこまで計算していたのだろう。
「おうちの人に何サれればそこまで考えられるわけ?」
「……それは、言えないです…」
怯えきった顔が心地いい。
俺が求めていたのはこれだ。
「もういいよ、察しついたから」
「…!!
徹さん、それは、お母様たちには……っ!」
近くにあったボールをすれすれ横に投げた。
大きな音を立て、るるはびくっと肩を震わせる。
「うるさいなあ。
言うか言わないかは今後のお前にかかってんだよ」
「…っ!!!」
足の力が抜けたようだ、るるはその場に崩れ落ちるように座った。
それをいいことに、うつ伏せにすると後ろから何もせずに黙っていきなり突き立てる。
「ひっ…!!!」
「あー、まだムカつく」
「うっ……いた、いたぃ…」
自分の制服から、たまに吸っている煙草を取り出し、火をつけた。
煙が部屋に充満していく。
「ねえ、お前マゾなんだから、もっと痛がってよ」
じゅっと背中に押し付けると、いつもの可愛い声とは違い、悲痛な声が上がる。