第11章 傷痕
帰る頃には全員すっかり手懐けていた。
呼び出して人払いして鍵をくすねるのがどんだけ大変か、こっちの苦労を何もわかってない…。
「るるちゃん、凄かったよ」
「またシてくれる?」
「…徹さんが、イイよって言えば…。
私、お兄さまには逆らえないので…、ほんと、ごめんなさい」
両手を合わせて色っぽく言う。
しかもわざわざ俺が不利にならないように。
ほんと、良くわかってて、ムカつくよ。
「抜け駆け禁止か……なるほどな……」
「抜け駆け?」
「や、こっちの話…」
先輩たちは既に全員虜だった。
ある程度の感情は既に持っていただろう。
るるに一杯食わされた。