第94章 【番外編】旅行先を決めよう
そして今日、部屋に入ると、本当にパンフレットが山のように置いてあった。
風呂上がりの一杯を楽しんでいると、彼女はそのいつもの香りを漂わせ、いつもの定位置についた。
「ゆっくりしたいっつーなら、やっぱ温泉とかか?」
「あ、前行ったところ、凄くよか…」
「あそこは、無しだ」
「…?」
「もっと遠くてもいいだろ」
誤魔化すように口を挟むと、うーん、と頷いてから納得してくれたようだ。
るるはくるっと向きを変え、両腕をこちらに回す。
「二人でゆっくりしたいですね」
もうそれは卑怯だ、と言いたくなるくらいに可愛く、気付く頃には服を剥ぎ、口を塞ぎ、その香る髪を楽しんでいた。
「…っ、だ、ダメです…っ」
「もう、無理だ」
「っ、やぁ、き、聞こえちゃう……」
「今まで散々この部屋でヤってきただろ?」
「そ、そ、そうですけど…っ!」
弱い首や脇腹にそっと触れ、艶やかな反応が出るまでゆっくり撫で、やがて主張してくるそこを静かに待つ。
それでもそこには触れず、震える肩に一つずつまた口付ける。
前にヤったのは相当前だ。
薄くなった痕を辿るように、また色濃く所有物であることへの執着心を刻んだ。
「あっ…、いやぁ…、まっ、まって……」
「もう、待てねえ」
「んんっ」
もどかしそうに膝が擦れあい、彼女の弱すぎる意志が崩れていく音が聞こえる。
自分の胡座の上で、舌を這わした口内だけで気持ち良さそうに身体を震わせた。
相変わらず過敏すぎるその反応に、満足してしまう。