第93章 【番外編】大掃除
(なんだろ、泣きそう……)
その場の空気に耐えられなくて、黙って寝室に向かった。
とは言っても寝室に一人で入るのもそれは寂しい。
肌寒さを感じて布団に潜るが、ますます寂しくなってくる。
せめて貰ったチョコくらいは食べればよかったかもしれない。
「…どした?忘れてたのそんなショックだったか?」
「……っ」
呆れたような笑いが溢され、優しく頭を撫でられる。
「それも、なんですけど……」
(ダメだ、可愛くないな…)
どうしたら貰ってこないで、と可愛く言えるんだろうか。
どう足掻いても嫉妬で醜い私にしかならない。
「なんだ?言えよ」
優しく頭を撫でられてから頬にちゅっとキスされる。
はあ、とため息を吐いてから、
「なんで、他の人の、受け取るんですか…?」
と意を決して言った。
彼は喉の奥で笑ってから、にやりと微笑んだ。
「お前のそういうとこ、見る為だ」