第92章 【番外編】終着点
お店の前には既に荷物が届いており、小学生くらいの子供達が繋心さんにお菓子を貰っていた。
「ご苦労。勤労の対価だ」
「えー!?こんだけー!?」
「うっせぇ!貰えるだけありがてえだろ!?」
「せめてもう一個…」
「じゃあアイス付けてやる、仕方ねぇなぁ」
「やったー!!」
繋心さんは子供の目線になると、アイスを一袋ずつあけ、それを手渡していた。
「落とすなよ」
そう言いながら、手のひらをぽんぽんと頭にのせて、それを数人分繰り返す。
慣れてるなぁ、と感心した。
私にはとても出来そうにない。
「た、ただいま」
一通り見てから声をかけ、優しくも面倒臭そうな表情が私に向けられて、一瞬だけ緩むのが感じ取れた。
それだけなのに、こんなに嬉しくなるのはなんでなのか。
揺らいでいく、自分の心が、重い。
不安なのに安心する。
その両極が、私の決心を鈍らせた。