第89章 【番外編】いつもどこでも【一周年記念】
鏡をまた見るように命令される。
彼の赤い舌がぬらぬらと私の先端を舐め、そして薄い唇にのまれていく。
見た目の淫靡さも、独特の生暖かい口内も、私のナカを疼かせる。
何もないはずなのに、きゅっと物欲しそうに伸縮する。
「あっ…!」
さっきは飲み込めた声が、今は静かな部屋に反響してしまった。
ちゅ、ちゅ、と音を立てられ、恥ずかしいのとくすぐったいのと、頭に血が一気にのぼる。
「あっ、あぁ…!」
ちらりと白い歯からのぞく舌が背中にぞわぞわとなにかを走らせるかのように、私に直接響かせる。
また目を閉じようとすると、頬を掴まれ、
「ちゃんと見てろよ」
と怒られてしまう。
その声すら、ぞくぞくとする。
私がきちんと鏡を見ているのを確認すると、また音を立ててキスされるように吸われる。
「はああぁ…あ、あっ、い、っ…!」
ひときわ大きく咥えられ、歯で優しく噛まれ、あまりの刺激に仰け反ってしまった。
「はぁっ!あっ、はっ…!ああ!!!」
鏡にびくんびくんと脈打つように揺れる私の身体が写し出され、それは、自分ではないかのように見えた。
「イったのか?」
「…っ、は、はぃ…」
息を整えながら答える。
恥ずかしくて、涙がぽろぽろと落ちていく。
好きな人と一緒にいるはずなのに、一人でしているみたいで、寂しさも同時に込み上げる。
「ほら、見ろ」
下着がじわじわと私の証で濡れて、透けてそこが見える。
ぱくぱくと物欲しそうに動いているのすらわかる。
普段、私はこんなにいやらしく汚ならしくしている姿を見られているのかと思うと、気持ち悪くなる。
それでも、ナカは次の刺激を求めている。
また何もないそこを、きゅ、と無意識に締めた。
指先が再び同じところに触れ、押し潰してはつねられ、そして引っ張られる。
「あっ、う…っ、あぅぅ…!!」
痛みと共に下腹部が疼いていく。
さっき迎えたばかりの波がまた襲う。
激しい刺激から解放され、また口内にふくまれると、柔らかいもどかしい刺激がじわじわとくる。
「ふぁあっ!ああっ…!!」
じゅる、とわざと音を立てて吸い付かれ、私はまた呆気なく達した。
しゃー、と音を立てて潮が滴り落ちていく。
それもばっちり鏡で見る。