第89章 【番外編】いつもどこでも【一周年記念】
「懐かしい…!」
「やっぱ女子の制服はいいよなぁ」
「なんだかんだ可愛いですよね」
髪を整えながらそう言い、振り返ると、ピッタリと黒の学ランを着こなす繋心さんがいた。
「!!!!!」
心臓が止まるかと思った。
「どした?やっぱこの年じゃ、無理あるな?」
半笑いでそう言うけど、とんでもない。
「っ!す、すごい、カッコいい…です…!」
もう自分の言葉が上手く出てこない。
あやふやな感想を言うしか出来なかった。
新鮮というか、不思議というか。
きっと顔もそこまで変わっていないだろう。
そこには、高校生の繋心さんが確かにいるみたいだった。
「そ、そうか?」
「絶対、他の女の子が放っておかなかったと思います……、悔しい……」
昔のことなのに、なんとも妬ける。
「そうでもねえんだがな…」
「えー!?気付いてないだけですからね!?」
繋心さんは、困ったような照れたような顔をして、部屋の端に追いやられていた全身鏡を持ってきた。
二人で並んでみる。
(は、恥ずかしい…!!)
「同じ年代だったら、こんな感じだったかもな?」
「…っ!!!」
肩に手を置かれ、隣にぴったり立つようにやんわりと捕まれる。
「そんな照れることねえだろ…」
「だって、そんな…」
「それ以上にハズいこと、いっぱいシてんだろ?」
「………はぃ…」
それをわかってて私もこんな気持ちになってる。
どこまでものめりこんでいて、本当に恥ずかしい。
「記念に、写真撮っていいですか…?」
「なんの記念だよ…」
呆れられるが、笑いながら携帯を取ってきてくれる。
ちょっと化粧したかったな、と思いながら何枚か撮ってもらった。
ぎゅっと近寄ったときに気付いたけれど、いくつかボタンがないのが、なんとなくショックだった。