第88章 【番外編】ソレイユ
隣県までは高速バスで一時間と少し。
駅前の待ち合わせ場所から出発して割とすぐだ。
降りてすぐに昼飯を取り、散策しながら指定宿に向かった。
途中の商店で、飲み物と菓子を買い、すっかり冬景色の町並みを歩いた。
そんな遠いわけでも国を越えたわけでもないが、随分と景色が違うなと感心した。
大晦日のせいか、町は少し忙しない印象だったが、余所者がのんびりするのには丁度いい。
宿からの景色は、雪が少し被った山と、立ち込めた霧と雲。
海の上に立つ氷山を思わせる幻想的な景色だった。
室内の内風呂もなかなかいい広さだったので、特に不満なくそこで済ませた。
大浴場は、るるが寝ている間にでもこっそり行けばいいだろう。