第87章 【番外編】キャンドルの灯
葉や木の影から少しずつまた光がさしこみ、やがて、小さな池に辿り着いた。
また感嘆の声を漏らす。
池に浮かんだ無数のキャンドルの光。
イルミネーションとはまた違う、柔らかくて幻想的な光景に、泣きそうになる。
「こ、これ……!」
「大した物じゃねーけど」
「ううん、すごいです…感動しました…!」
繋心さんは嬉しそうに笑うと、近くのベンチまで案内してくれた。
「……」
「どうしました?」
「……いや。
また、来年も、一緒にいてくれるか?」
繋心さんは恥ずかしそうにそう聞いてくれる。
「もちろんです…!」
あまりにも嬉しくて、私からついキスをする。
「…ちょ、まっ…」
「待てません…」
逃げないように両頬をおさえ、見慣れたはずなのに緊張してしまうその顔を近付ける。
諦めたのか、黙って受け入れてくれて、いつものように柔らかく唇を食まれる。
いつものほんのりと煙たいにおい。
「…っ」
出逢ったときから変わらない、好き。
たまに喧嘩したり、泣いたりもするけど、やっぱり大好きで。
背中にぎこちなく回される腕が、いつもより強くて、いつまでも胸がどきどきした。