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迷い道クレシェンド【HQ】【裏】

第84章 【番外編】狼なんて怖くない


解散の号令をかけたが、るるは戻ってこなかった。
誰か他の連中に付き合わされているのか、と何人かで校内を見渡したが見つからなかった。
「あとはこっちで探しとくから、帰っていいぞ」
と促し、謝られながらも帰宅させた。
月島の表情が一瞬曇る。
「校庭周りの倉庫かも」
と心当たりあるように言った。
「なんだ?」
「カラーコーンはあっちだから」
「……ああ」
何本か使ったなと思い出し、少し急いでそちらに向かった。
何もなければいいが。

もう肌寒く夜も遅い。
件の倉庫は灯りがこない場所にある。
スマホの照明を光らせ、慎重に歩いて向かった。
古い錠前が空いている。
「るる?」
「!」
声を掛けながら奥へ入ると、微かに彼女の声が聞こえた。
「電気付けるぞ」
スイッチを押すと、床に座り込む彼女がいた。
「やっぱここだったか。
そろそろ帰るぞ」
「っ!」
「どうした?」
手をのべてもなかなか捕まろうとしない。
「おい…」
「あの、足、痛くて」
「足?」
こちらに見せるように言い、体重を傾け、ゆっくり膝を立てさせた。
「足首、捻挫したかも…」
若干ヒールのあるパンプスを脱がし、足首を手で触る。
確かに腫れていて、熱を持っていた。
「やってんなこりゃ…」
「ごめんなさい、すぐ戻るつもりでいたから…携帯も持ってきてなくて……」
「探すのが遅れて悪かった」
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