第10章 初恋
風呂から上がったるるは、決まって俺に利き手のサポーターの巻を頼んでくる。
その時がチャンスだ。
自室に近づくスリッパの音。
思わず先に戸を開ける。
「るる、おいで。やったげる」
「あ、ごめんね?お願い」
「いいよ」
「徹さんにはお世話になりっぱなしだね」
「気にしないで」
マジックテープを最後に止めると、るるはありがとう、と見上げて笑った。
そのまま手を引いて、自分の下に押し倒す。
顔を寄せると少しむっとした顔で、やめて、と短く言われた。
「助けてやったのに」
「わかってる…いつかお礼はしたい…」
「今すぐ頂戴」
首を左右に振って否定する。
何をされるのかはすぐにわかったらしい。
勘がいいと言うか、女子にしては珍しいと思った。
それとも、既に…?
「なんで?
みんな俺にこうされたがってるのに」
「ごめんなさい…でも私は…」
「うるさいな」
イライラしてつい唇を塞ぐ。
口内に侵入すると、他の女子なんて比べ物にもならない。
つい弄んでしまう。
深く、噛みつくように。
「はっ……んんっ!」
くぐもった否定的な吐息が聞こえる。
他の子だったら夢中でしてくれるのに。
彼女が逃げようとすればするほど、追いたくなる。
この後何をされるのかわかっているらしい強ばってるるるの顔が焼き付く。
凄くそそられたのをよく覚えている。
身体を固まらせてはいるが、それでも男女の体格差、力差、そして怪我。
捩じ伏せられないわけがない。
上に覆い被さり、手首を彼女の頭上に一纏めにし、部屋着を乱暴に脱がせた。
「お、お願い…やめて…!」
「やーだ」