第10章 初恋
コンクリートの残り熱がじんわりとくる。
練習がない日でよかったかもしれない。
るるは足首も少し捻っていて、歩くのが遅かった。
俺はそれに合わせて、なるべく紳士的に装う。
同じくらい汗かいてるのに花のようないい香りが鼻を擽る。
「はぁ、ごめんなさい、ほんとに…」
「いいって」
「きつかったら先に行ってて、ね?」
首を傾げながら困ったように言った。
「……いや、暑いし、倒れられたら大変だから」
なんて可愛いんだ、と俺らしくもなく思った。
女子なんて皆同じだと思ってた。
寄ってたかって、顔がいいだの背が高いだの、俺の中身なんて知らないくせに。
歪んで黒ずんだ自分の汚い部分を、いつになったらさらけ出せるのか…。
今思うとその捌け口として見つけたのが、るるだった。