第79章 【番外編】大人と子供
「繋心さんは、どんな成人式でした?」
「……覚えてねえよ」
切なそうに笑いながら、そう答えられた。
「ただ、そん時は、こんなに一人の女を溺愛出来るとは、知らなかったな」
「……っ、録音したいので、もう一回言って下さい…」
「祝辞は一回までだ」
「ひどいっ」
艶やかなその着物の上で、私はどんな風に見えたのだろうか。
形だけ大人になった私は、どんな風なんだろうか。
中身は相変わらずで、知識も伴っていなくて。
何もかもがそのままなのに。
歪な私は、成長して、彼の隣を歩いていきたい。