第79章 【番外編】大人と子供
「おばさま、お着物ありがとうございました。
かんざしも!」
次のお休みに、私はそれを返しに徹さんの家に寄った。
おばさまは嬉しそうに受け取ってくれた。
娘が出来たらこういう行事をもっとしたかったとまた繰り返し言われた。
結婚式も派手になりそうだな、と少し思ってしまった。
「あら、この染み…」
「染み!!!!?」
思わず大きな声で聞き返してしまった。
さ、細心の注意を払っていたはずなのに、それでもつけてしまったのか!
申し訳なさと恥ずかしさで泣きそうになる。
「ご、ごめんなさい…!!えっと、クリーニング代は出します……!!!」
「はだ襦袢だから手洗いでおちるわ、大丈夫よ」
「ほ、ほんとに、ごめんなさい……」
それを手洗いされるのも心痛い。
私も軽くスプレー除菌をして、汚れはチェックして、インターネットで調べた通りにある程度の汚れは落としたつもりではいたのだけど。
「ふふ、仲が良いのね」
(肌着についてるものね、それは気付くよね……)
帰る時、おばさまが少しばかりのおかずと、お赤飯を袋に詰めてくれた。
「色んな意味でのお赤飯になっちゃった」
と嬉しそうに言われたのが、死ぬほど心苦しかった。