第79章 【番外編】大人と子供
「あ!」
「おい」
「ごめんなさい…!」
「なんだ?謝るってことはやましいことでもあったのか?」
「徹さんが、ほ、褒めてくれたのにびっくりしちゃっただけです…!」
重いだろうに、そのままお姫様抱っことやらをされて、ベッドに投げられるように下ろされた。
「褒められた」
「そ、そうなんです…、ちょっと、ビックリして…」
「ほお」
上に乗られてつい緊張してしまう。
今日1日、そういえばちゃんと向かい合って話すのははじめてだ。
「ああ、えっと……」
もう頭が回らなくて、言い訳なんて思い付かない。
「ね、皺がついちゃう…」
やんわりと押し返してみてもその影は近寄る一方だ。
私にはどうすることも出来ず、一つずつ髪飾りが外されていく。
不器用そうに見えて、髪に殆ど引っかけずに外しているように思う。
手先が器用なんだな、なんて、少し思った。
編み込みを抑えたヘアピンも一つずつ取られ、固められた髪をほぐされる。
「繋心さん…、髪、上手に…」
ほどくのですね?と言おうとしたところで、口を挟まれる。
「前の女が、色んな髪型してきたからな。
慣れてる」
「聞きたくなかった…」
と顔を背けてしまった。
「退いてください…!」
涙声で言ってみたものの、動く気配はない。
後ろ手に帯を結び目から崩され、それも綺麗に剥がされる。