第70章 【番外編】夏の夜の夢2
お水を貯めるついでに、自分もシャワーを浴びてしまおうと脱衣室を閉めて服を脱いだ。
窓がガタガタと音を立てて揺れている。
かなり風が強いらしい。
繋心さんたちは無事だろうか、とぼんやり考えた。
タオルを取って拭きながら、やっと、服を持ってきていないことに気付いた。
「……馬鹿じゃん…」
いつもならそのままタオル一枚で寝室で着替えている。
完全にいつもの癖だ。
持ってきて貰うにしても、しまっている所が寝室だ。
あまり他人を入れたくない空間であり、ましてや義理でも兄。
とても、気まずい。
向こうもそうだろう。
諦めてドアを開け、徹さんのいるリビングへ向かおうとした。
そこを抜ければ寝室がある。
狭いアパートなのに、随分広く感じてしまった。
でも。
結果はかなり予想外な方向に向かった。
部屋に向かう私は、ほぼ全裸の徹さんにぶつかってしまった。
濡れた服のままエアコンの下にいた徹さんは、寒さに耐えられなかったらしい。
浴室にいる私に声をかけ、タオルの場所を聞こうと試みたが、私はそのまま黙ってシャワーを浴びてしまったので、長い時間放置されていた。
せめて体温が戻るまでは、濡れた布を身体から外したそうな。
そして、ほぼ全裸の私が目の前の浴室を開け、扉の角が思いっきり、背の高い徹さんの顔面に直撃した。