第70章 【番外編】夏の夜の夢2
私はその時は、タイミングいいな、なんて思ってしまった。
私が前に、彼が他の女性を入れた時、目の前で見てしまったショックがあまりにも大きかったから。
だから、内緒ならいい、なんて、そんな風に思ってしまった。
でもそれは、逆で、むしろいてくれた方が良かったのかもしれないと。
「ただいまー」
誰もいない家に、うっかり挨拶してしまう。
家のなかはまだ涼しく、停電した気配はなかった。
「よかった、停電してないみたい」
「そのうちなるかもね。
今のうち、風呂に水張っといたら?」
「何に使うの?」
「……トイレ流したり」
知らないの?としかめっ面をされながら徹さんは教えてくれた。
水道が止まったときの対策をいくつか聞き、納得してから私は言われた通りにお風呂場に向かった。
「徹さんも濡れてるし、水張ったらシャワーだけでも使う?」
「……じゃあ、そうする」