第68章 【番外編】泡沫のクリオネ
約束は約束だ。
諦めてそれを買って頂いた。
これを着て人前にかー…となかなか心では踏ん切りがつかない。
試しに、私が選んだのを着けてもらいたいとブーメランパンツを渡したら、かなり痛いデコピンがお見舞いされた。
クローゼットにタグを外した水着を入れて何日か、どこに行くかすら話し合わないまま、約束が流れてしまわないかとどこかで思っていた。
だから敢えてこちらから声を掛けることはしなかった。
繋心さんもなかなか忙しそうで、もしかしたら忘れているんじゃないかと思う。
夏休み前に、折角マネージャーになったのにほとんど顔を出せていなかった部活に少し出向いた。
部活、といっても活動は凄く緩やかで、けれど実力者揃い。
(と、菅原くんが言ってたなぁ)
部長もすごくおっとりしている人で、久々なのに皆あたたかく迎えてくれる。
今日丁度夏休み前最後だからと、飲み会に誘われた。
あまり顔を出さないのもなんだし、と、一次会だけお邪魔することにした。