第68章 【番外編】泡沫のクリオネ
最初に渡されたのは、とても布面積の少ないビキニだった。
人生でここまで面積の少ないものは、おおよそ身につけていないだろう。
「む、ムリムリ!!!」
「エロくていいだろ」
「無理です!お肉がえらいことになりますっ!」
「ならねえよ」
なんとか説得して、他の物にしていただく。
元々、そこまでスタイルに自信もなく、出来ればワンピースを…と小声で言ったが、あっさりと却下された。
次に渡されたのは、なんとも私好みな、ギンガムチェックと綿レースの柔らかいデザインのセパレートだった。
「可愛い…!」
「お気に召しましたか?」
「は、はい!」
試着してみるも、やっぱり、傷は隠れそうにない。
チューブトップのように、後ろもそれなりの面積にはなっているけど……。
「うーん、やっぱり見える~…」
「気にすんのはるるだけだって」
カーテンの外から、優しくてぶっきらぼうな声が聞こえた。
「………むー…」