第66章 【番外編】極夜２

慌てて帰れば、自販機の前でぼんやりと、るるは立っていた。
「…るる…」
「…っ！！」
相変わらず、たった一人で無茶なもの抱えた彼女に、なんて酷い言葉を沢山吐いてしまったのか。
悔いしかない。
本当に、最低だ。
どれだけ傷ついているんだろうか。
どれだけツラい思いをしたんだろうか。
「ご、ごめんなさい…っ！
どうしても、好きで……諦められなくて……」
「ごめん、ごめん…」
「…、信じて、くれるんですか…？」
「全部、俺のせいだから…」
「…そんな、私……っ！」
嗚咽と共に泣く彼女を、今は抱き締めるしか出来ない。
彼女だけしか知らなかったはずの秘密を、俺も知った。
けど、それは、墓場まで持っていく。
お互い知らなかったことにする。


彼女の高い防壁と、あの演技のような余裕がなくなったのは、この一件が大きな要因かもしれない。
「繋心さん、おはようございます」
鼻先を弄られながら、朝の挨拶をされた。
この、ゼロ距離甘えが普通になった、気がする。
そういえばあと何日したらヤれるのか、聞いておけばよかったと、なんとも言えない後悔をする。

まだ不安が抜けないのか、帰れば部屋におり、寝るときもくっついてくる。
それはなんとも嬉しいが、新手の拷問だとも思う。
露出の高い部屋着をわざと着てくるのも、止めていただきたい。
「……繋心さん…、シなくても、いいんですか？」
「…ああ、ヤらなくてもいいって、証明してやるから！」
「………そういうことじゃ、ないんだけど…」
「追い出しといてなんだがな…いなくなると思ったら 、死にかけた」
「………私も…。でも、生きなきゃって。
だから、戻ってきちゃったんです……」
「そうだな…」
他の奴の分まで、骨の髄まで、甘く砂糖に漬けるように、どろどろに溶かされよう。
お互いに。