第66章 【番外編】極夜2
「ソレ、多分元カノ」
「………は?」
ソイツは少し間を空けてから、情けない声で聞き返してきた。
「……や、今朝、別れようって」
たじたじとそう返したが、段々と予想が現実味をまとっていく。
それは、嫌な予感があたることでもあり、気持ち悪いどろっとしたものが同時に込み上げてくる。
「最低すぎるだろ…」
その一言で、本当に自分の最低さにがっかりする。
「ほんとに……」
出てもらえないかもしれないが、電話を掛けた。
謎の体調不良と、変な感情のせめぎあい。
急にけろっとして、急に甘えだして。
そして多分、全部俺の為だ。
相変わらず無茶な背負い方をする。
きっと、言ったら、なんで相談しなかった、と俺が怒るのがわかっていたから。
そして馴染みの町で、狭い出来上がったコミュニティで、自分発信の悪評から全てを守りたかった。
俺も、部活も、周りの人も。
自分を犠牲にしてまで。
全部、『彼女らしい』納得いく行動だ。
それなら、デキない理由も納得だ。
なんて感心している場合じゃない。
「探してくる!」
寒い街中。
病み上がり、というわけではないが、完全に身体が戻っているわけではないだろう。
早く見つけなければと、思い当たる場所を探し回った。
会っても、俺がそのことを知らないことにしないといけない。
必死に隠していたことを思い出す。
なんて謝ったらいいだろう。
そんなことを考えながら、ひたすら走った。
「あー、飲むんじゃなかった…!」
頭痛の中で走るのもなかなかしんどい。
前の教訓に習って、GPS機能にお世話になる。
意外にも、予想してなかったところにその反応は出た。
「……家?」