第66章 【番外編】極夜2
同棲するアパートに荷を広げる。
るるの少ない荷物と、更に少ない自分の荷物を並べ、一息吐いた。
1個だけ、厳重に包まれた物が残されていることに気付く。
「なんだこれ?」
るるは買い出しに出ていていない。
こっそり開けて、まずい物だったら元に戻そうと思った。
好奇心には、勝てなかった。
慎重にぷちぷちを剥がし、新聞紙を剥がし、出てきたのは、綺麗なガラスの小物入れだった。
さらにそれを開けると、花と共に、エコー写真が入っていた。
まずい物の方だった。
それでも、初めて見るそれに、感動する。
写真の見方はさっぱりわからないが、確かにそこにあった命が、大切でたまらない。
閉めて包み直し、そっと手を合わせる。
「ただいまー!
緑茶と十なんとか茶、どっちがいいですか?」
「好きな方飲め」
「え?私は、レモンティーにしちゃいましたぁ」
「なんだそれ…」
ふと、前にるるが言ってたことを思い出す。
「結婚して、子供出来たら、男だろうな…」
「覚えててくれたんですか?
私も絶対、可愛い男の子だと思うんですよ…」
うっとりと、それでも少し寂しそうに、彼女は言った。
明けない夜はない、なんてよく言う。
たまには、明けない夜だってある。
例えば、お互いに出来た、墓場まで持っていく秘密のように。