第65章 【番外編】極夜
学校をサボって病院に行った。
エコー写真…初めて見たな、と思いながら受け取った。
手順を聞いた。
書類を渡された。
ファミレスで書いた。
100均の印鑑が役に立った。
当日まで、気持ち悪いのを我慢して、たくさん私の好きな物を食べた。
いちごも、チョコも、季節限定のパフェも、野菜のパスタも、彼の好きな玉こんにゃくとか。
頭で何回も説明しながら食べた。
たくさん景色を見て、お散歩して、部活も頑張って見て。
全部、泣きながらだった。
色んな人にビックリされた。
一生分の涙を流した気がする。
固いベッドに横になって、最後の涙を流した。
自然に流れた。
麻酔が段々と効いてくる。
意識が遠退いていく。
オレンジの光に包まれる夢を見た。
可愛い小さな男の子が手を振ってくれて、またね、と言ってくれる。
笑っていた。
さよならじゃなくて、またね、だった。
だから、私も頑張って、精一杯笑顔で手をふる。
「またね…っ」