第65章 【番外編】極夜
冷たい飲料水を少し飲ませてくれる。
いつもの優しさに、どきどきする。
「……ん」
喉を通り、声が掠れているのを潤してくれる。
「…?」
「どした?」
「お水、いつもと同じですか?」
「あ、ああ…」
「なんか、味が…ちがく感じて」
「風邪でも引いたか?
ストレスで味覚がおかしくなるとかも聞くし…」
そっか、となんとなく納得した。
さっき、急に涙が止まらなくなったりしたし、それもあるんだろう。
「風邪引く前の薬のんどけ」
「美味しくない粉……」
「文句言うなって」
繋心さんは粉薬を何個か手渡してきた。
漢方薬で、引く前に飲むと予防にもなるものだった。
苦手だけれど、今は飲むしかないと、覚悟を決めて飲料水で流し込んだ。