第63章 【番外編】鵺2
もう吸いきれない布の上に、徐々に雨上がりの道路のような水面が出来上がっていく。
るるが動けばそこも波打つ。
後処理をどうしてくれよう、とどうでもいいことを考える余裕がまだあった。
「入れて、いいですか?」
何故か遠慮がちに聞いてくる。
いつもならそんなこともなく、早く、と急かされるのみなのだが。
「…ああ……いや、ま…」
ちょっと待てまで言えず、あっさりと体重が下ろされていく。
うっとりと、気持ち良さそうに、嬉しそうに。
いつの間にか付けられていたゴム越しに、どくりと吐き出す。
最早衝動に逆らう余裕は全くない。
薄い材質から感じる熱や凹凸が、いつもの何百倍もわかる。
「……く、っそ…っ!」
「あっつい……」
じゃぼじゃぼと、いつもと逆の立場の液が音を立てる。
座位から上半身を押し倒され、寸でのところで肘をつく。
キスをねだりたかったようだ。
はむはむと小動物のように唇を柔く噛まれ、舌を送り込まれる。
「ん、んふ、ふぁ、は…」
動きながらも器用に答え、漏れた喘ぎが鼻をかすめる。
いつものふわふわとした花の香りと、吐き出した精の独特のにおいが合わさって、淫靡にその思考回路を鈍らせていく。
「くっ…!!出る……」
「あっ、あぅ、ん、やぁああ…!」
知り尽くしているナカの一点なんて、すぐにわかる。
もう随分と我慢したであろう身体に、電流が流れるかのようにびくびくと揺らし、彼女はぐったりとした。