第60章 【番外編】カップ酒と贖罪
るるは帰ってくるやいなや、部屋に閉じこもって勉強をしている。
親には飲んでくる、と適当な嘘を吐いて家を出た。
待ち合わせより少し早い。
酔った勢いでもないとやってられない、と、一杯カップ酒を流し込む。
わざわざ大人っぽい服装してくれた女は上出来だ。
バーに入ってもう何杯か飲んで。
そこから記憶が途切れている。
目が覚めると、二日酔い特有の、偏頭痛。
「くっそ、どこだここ?ビジホか?」
辺りを見渡すと、限りなく見覚えがあり、隣にいたのはまごうことなき、マジの彼女。
「…は?るる?」
散乱したティッシュやら服やらを見ると、そういうコトの後のようだ。
いやいやいや、意味がわからない。
違う女に脅されて一発ヤらなきゃいけなくて?
なのに、いるのはるるで、しかも自宅で?
なんで?
「繋心さん…」
起きたるるは、俺の困惑とはまた違う顔をしている。
「るる…、その」
「ひどい……、昨日の、ずっと、違う娘の名前呼んでて……っ!
私しかいないって、ウソだったんですね…?」
「は?」
ぽろぽろと大粒の涙を流して、るるは泣き出した。
「わ、私…、もう、出ていかないと、ご迷惑ですから……」
裸のまま、るるは荷物を整えていく。
次に行く宛もなかろうに。
「お、落ち着けって…!俺も何がなんだかわかんねえんだよ…」
「酔っぱらって帰ってきたと思えば!
やっぱり私じゃないと勃たないと言って押し倒しておきながら!
ずっと違う名前を連呼しながらお楽しみでしたが!!」
分厚い参考書が投げられ、頭を掠める。
「あっぶね…!」
次に投げられたのは見事顔面に的中する。
あまりの衝撃に、大体のコトを思い出した。