第60章 【番外編】カップ酒と贖罪
飲んで、酔った勢いでなんとかホテルに入り、その女の要望を聞いた。
「彼女みたいに愛して?」
無駄にませて小生意気なことを言うクソガキだと思いながらも、るると思い込んでなんとか行動する。
いつも通りに舌を絡ませるようなキスをし、押し倒し、脱がし、柔らかい肌に触れ、本当にいつも通りに戯れる。
が、何度も何度も触っても、一向にムスコが元気にならない。
女に罵倒され、ふざけるなと言われ、怒られる。
「ねえ!私読モもやってるんだよ!?」
確かに顔もスタイルもいい。
でも、匂いが違う。仕草が違う。
受け付けない、なんてこと、あるんだと驚いた。
気が済んだのか幻滅されたのか、そいつはその場であのデータを削除し、
「お前みたいな男、こっちから願い下げ」
と口汚くまた罵られ、部屋を追い出された。
無性に腹が立ったが、甘ったるい雰囲気の余韻が、寝ているるるを見た瞬間に一気に来た。
「ほら、ちゃんと勃っただろ?」
「ん、繋心さん……?」
「……お前なら…」
「なんで相談してくれないんですか!?」
「や、心配かけるし……」
「私に心配かけるより、他の女の子に私と同じことした罪悪感の方が、普通は上ではないですか?」
「う………」
「……もういいです…」
荷造りを止めたるるは、またシーツに横になる。
「ひどい……な、私、ずっと、昨日みたいなえっちしたかったのに……」
「!!!?」
「優しいのに、ちょっと強引で…、アルコールくさかったですけど…、ずっと離さないでキスしてくれて、手なんかきつく繋がれてて…、終わった頃には指がじんじん痺れてて……」
そんな丁寧に解説されると、沸騰しそうなくらいに顔が熱くなる。
「でも、名前は違う人。興醒め。」
「わ、悪かったって……」
るるはふい、とうつ伏せになり、ゆっくり俺の顔を見上げる。
「今日、したいです」
「…はい」
「昨日と同じように、じっくり、ゆっくり、たっぷり、愛してください。
そしたら、許さないこともないです」
全く、この彼女には敵わない。
たまに余裕を見せたかと思えば、ツラそうに笑う。
笑ったと思えば、罪悪感を植え込みつつ、贖罪をさせてくれる。
どこまでも、夢中になる。
「なんなら、今から…」
「二日酔い抜けてからにしてください!くちゃい!」