第60章 【番外編】カップ酒と贖罪
なんでわかったかというと、昼間に来た一人の女子生徒。
録画された映像を見て、くわえた煙草が落ちる。
「おにーさん知ってる?
これが犯罪になるの」
「……まあ、痛いくらいには心得ているっス……」
「ね、私、ずっとおにーさんが好きだったの。
同じ事をしてくれる?」
「…は?無理に決まってんだろ」
「じゃあ、これ、けーさつに持っていっていい?」
こんないらないモテ期とか、捨ててしまいたい…。
この馬鹿げた脅しをしてくる女を引き寄せる。
顔は確かに、どっこいどっこい。
ただ、匂いが、仕草が、違う。
「お前とは、何も出来ねえ」
「なんで?」
「なんでじゃねえよ。裏切れねえ。
アイツが傷つくくらいなら俺が…」
「同じだよ。どっちにしろ、傷つく。
ねえ、それより、これを私が学校に提出したらどうなると思う?」
「……」
「彼女が、これで、お金のやり取りしてる、なんて、付け加えたら?」
「クソ……」
「わかればいいの」
女はにっこりと満足そうに笑う。
適当なメモ用紙にペンを走らせる。
「夜、ここで待ち合わせだ、その後、なんでも言うとおりにしてやる」
もう一度笑うと、頷いた。