第60章 【番外編】カップ酒と贖罪
「こんなとこで待ってたのか」
部活の終わるまでの時間、るるは空き教室で勉強していたようだ。
進路が決まってから、あまりの学力の低さに慌ててやっているが、線は悪くないとは思う。
「お疲れ様です」
いつものように、たっぷり甘えた声でそう言われる。
もう日が落ちていくのが早い季節。
蛍光灯の明かり、誰もいないのを知って、いつものように口付ける。
「ん、ふ…」
漏れる吐息のなんと甘美なことか。
ボロの実家住まいで、お預けを食らって数日。
腰が疼くのを堪えた。
口内の粘膜を味わうだけでも、それなりに違う。
人間の脳とは、案外単純なモノかもしれない。
「ん、はぁ……」
漸く解放してやると、小さな口が息をしようと開く。
「鼻で息しろっていつも言ってるだろ」
「…うぅ、恥ずかしくて…」
ゆっくり机に押し倒し、先程よりも深く、舌を絡め合う。
「ぁ、ん、はっ…」
「声抑えろ、見回りが来るぞ?」
「ん…」
きゅっと閉じられた目から涙が流れる。
「ぁ……繋心さん…、最後まで、したい…」
お決まりのでこピンを思いっきり食らわす。
「…っ!!」
「場所考えろ」
「ぁぅ、だってぇ……」
その蕩けた顔を見ていると、何故か触ってすらいない自分も限界が近いように思える。
「帰るぞ」
照れ隠しに身体を離して支度を促した。
「…いじわる……」
「見つかったらどうすんだ。退学かもしれないぞ」
なんて、もう手遅れだったのは、後から知った。