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迷い道クレシェンド【HQ】【裏】

第56章 【番外編】寂しくないように


「普通の子は、やっぱり両親に連絡がいくんですよね…」
寂しそうにそう言うるるは、自分の過去を振り替えっているようだった。
本物の優しい両親に少なからず憧れがあるのだろうか。
「おじさま達は、確かに実の娘として私を受け入れていたけれど、私はやっぱり余所者で…」
るるははっとしたような顔をして、焦るように自分の発言に落ち込んだ。
「なんでも、ないです……」
たった一人、どれだけ重いものを背負ってきたのだろうか。
改めて考えさせられる彼女の発言に自分まで落ち込んでくる。
寂しくないよう、体温の感じる布団に入り、後から抱き締める。
「風邪、うつりますよ…っ」
そう言うクセに、回された腕を上からぎゅっと握り、離すつもりなどはなさそうだ。
やってることと言ってることがあべこべで、コイツなりの甘えなんだとすぐにわかった。
「お前の為なら、どの立場にもなってやる」
「ありがと、ございます……」
小さなからだの汗ばんだうなじに唇を寄せる。
びくっと身体が揺れ、甘い香りがふわっと漂う。
いつものように自分が反応するのを感じ、やれやれと一人、見えないように笑った。
すっかり香りに馴らされてしまった己は、コレなしでは生きてはいけないんだろうな、と改めて思わされる。
「るる…」
優しく名を呼べば、
「だめです…うつりますから」
とムッとした顔をする。
そのくせに、瞳はどこまでも熱く、寝巻きの下に手を入れれば、火照っていた。
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