第56章 【番外編】寂しくないように
朝から顔色が悪かったるるが、学校で倒れたらしい。
アイツが具合悪くして倒れたのは久々だと慌てて迎えに行った。
「緊急連絡先にお電話させていただいたのですが、相手は本当に貴方で?」
相変わらずのこの、疑われっぷりである。
「どういったご関係で?」
「ぁー…親戚、みたいなもんで…」
似てないし家族でもないしどういったご関係でもないと言いたいがそういうわけにもいかない。
尚もジロジロと顔を見られ、ようやっと医務室へ案内してもらった。
「るるさん、お迎え」
「そ、そんな!お迎えしてもらうほどじゃないです…!」
俺の顔を見るなり、申し訳なさそうに身体を縮め、ちらりと顔を見てくる。
「風邪だとは思うんだけど、麻疹が流行ってるみたいだし、痒みを感じたら医療機関に。
今日は免疫が落ちてるからそのまま帰ってください。
あとるるさん、緊急の電話は保護者さんにして貰えないかしら?」
「はーい…」
やっといなくなったおばちゃんの背中から視線をはずし、美白を通り越しているるるにうつす。
「ちょっと、ダルいだけなんだけど…」
「ダルいだけで倒れるかよ」
「ごめんなさい…。
お仕事、でしたよね?あ、部活も…」
「もう言ってある。帰るぞ」
安心してしまったはずなのに、なんとなく照れ臭くて、ぶっきらぼうに言ってしまう。
そんなんでも、頷いて、手を繋いで、後ろからよろよろついてきてもらうのは健気で、言い知れない暖かさがじんわりと滲む。
それは、熱のせいで熱すぎる手がいけないのか、仮でも家族と思われているのが嬉しい俺のものなのかはわからない。