第54章 【番外編】しづ心なく花の散るらむ
山の奥地にあるそこは、まだ夜中は肌寒く、夜桜が散り際だった。
花弁が舞う露天風呂は、極楽浄土のような絵面で、そこで声を抑えて刺激に耐えるるるは天女のようだった。
濁り湯と上から降ってくる花弁で結合部なんて見えない。
ぶるりと身体を震わせると、また一つ果てた。
誰も見ていないのを良いことに、湯が揺れるのを見つめながらお互いを貪る。
至極貪欲に。
ふと、この旅行の策士の一言が浮かぶ。
(孫、な……)
それは当分あり得ない。
何故なら、この底知れぬ独占欲が全て彼女に向かっているからだ。
もし自分の子でも、何年もと奪われるなら……、
嫉妬で狂う気さえする。
そのくらい自分は浅はかで、とても親としての認知なんて出来ないとすら思う。
「ううぁっ、んん…っ…!」
もどかしいのか、るるが身体を更に密着させようと水の中で足掻く。
浮力が無駄にあるせいで、思うように体重が動かないのだろう。
腰を掴んで押さえてやれば、悲鳴が上がる。
「ゃぁあああっ!!」
ぬるぬると恥骨同士が滑って当たる。
ぱしゃっと水面が揺れ、浮かんでいる花弁が波打つ。
まだまだもどかしそうにるるがきゅうっと締め付けてくる。
これ以上この体勢は、自分も限界だと悟った。
赤く膨らんだ芽をぬめりで擦り、もどかしさから解放してやる。
「やぁあっ!い、いっちゃぅ…っ…!!」
息を詰めてびくんと、また身体を震わせる。
まだ責めを止めずに、ぐりぐりと擦った。
「ぁあっ!だめ、ったらぁあっ!!
いやぁっ!!!!」
背を反ると、じわっと滑り気が増すのを感じた。
相変わらずぎゅーっと手足と一緒にナカが懸命にカタチを残そうと締め付けてくる。
襞一つ一つを愛でたいほどに、それは気持ちよく、そこにそのまま吐精してしまいそうだ。
「は、ぁ……っ、もぅ……」