第50章 【番外編】世界中のショコラティエに謝れ
ほろりと口のなかで蕩けて、いかにも高いチョコレートなのが、素人の私でもすぐにわかる。
それとは別に、舌の上に流れる、ドロリとした熱い液体。
「!?」
飲み込むと、体内まで燃えるように熱くなる。
「何?何が入って…?」
「40度のウィスキー」
「やぁ…ひどい…」
「美味いだろ?」
頭が溶けそうなくらい熱い。
ぼやぼやと霞がかかる視界に、覆い被さる影がうっすらと見えた。
「ほら、まだ残ってるぞ、口開けろ」
「…んっ」
意識がはっきりしないまま、言われた通りに口を少し開けると、ほろ苦い感覚が広がり、それと同時に、いつもの煙草のにおいをまとった舌が差し込まれる。
口の中で溶け合って、またお酒が溢れてきて、私の粘膜を刺激する。
「んんぁ、ん、っぁ…」
「美味そうに食うな」
離れる唇が名残惜しい。
もっと攻め立てて欲しいのに、すんなりと銀糸が切れてしまった。
「あぁ…、も、もういっかい、して…?」
「しょーがねーな…」
もう一口チョコを咥えると、繋心さんは私を押し倒しながらさっきよりも深いキスをしてくれる。
どんどん回るアルコールに、更に身体がじんじんと蕩けていく。