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迷い道クレシェンド【HQ】【裏】

第49章 【番外編】煙の奥の奥


予約していた居酒屋に案内され、上座に先生と先輩たちを押し込め、俺は烏養さんの隣に座った。
るるさんとは離れてしまったが、本人はこれを狙っていたようで、遠くからガッツポーズをしてきた。
この恩師に関しては、常に尊敬しかないが、事彼女に関すると、驚くほどに嫉妬深い。
それは、割りと周りに「鈍感」だと言われる俺にでもわかるくらいだ。
「席、隣だったろ。何話してたんだ?」
ビールを啜りながら早速突っ掛かれる。
完全に取り調べである。
既にあの場では、るるさんの隣に座ることは勝負に掛けられていた。
……ハズレの方の意味で。
何故なら、その後の部活がヤバいことになるからだ。
前回、日向は追加筋トレメニューを投げられた。
(今回は、取り調べか……)
「や、特には……」
「最後、何貰ってたんだ…?」
「チョコを…。四角い20円の…きな粉餅味…」
現品を見せ、これです、と伝える。
「何を、口止めされたんだ?」
(るるさん、バレてます)
つかこんだけで口止めってわかるのかよ!?
こえーよこの人!!
等と思ったことは内緒にしておこう。
澤村先輩と夢中で話している、少し色っぽい背中を見て、心のなかで謝る。
(すいやせん、るるさん)
「結局今回も、コーチしか見れなかったからって。
だから、試合の流れの話になったらフォローしてくれと…言われました…。
ついでに、見惚れてたのは黙ってろと…」
るるさん、ほんとすいません…。
もう一度謝る。
だがこれは黙っておく必要は特にないとは思うが。
だって、あまりにも、隣の男は優しそうに笑うから。
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