第49章 【番外編】煙の奥の奥
「ったく、昨日夜中に、ルール覚えるって張り切ってたのはアイツだったのに…。
しょーがねーな…」
くくっと喉で笑うと、煙が場を舞う。
俺の小さな大切な恋は、確かに始まる前に終わってしまった。
でも、この関係を見て、凄く羨ましくもあり、嬉しくもあった。
(夜中、と、日向の嗅覚……)
一体どんな教え方をしたんだか。
隣から漂う煙のにおい。
それは、忘れられない、初恋の人のにおい。
帰りに解散となって、日向と途中まで帰った。
朝の仕返しをしてやろうとせっかくの情報を活かすことにした。
「お前、また当たってたぞ」
「あー、るるさん色っぽいってやつ?」
「それ」
「え?コーチから聞けた!?」
「バレーのルールを教えながら、夜な夜な…」
「あああ!もういい、もう無理!!
顔見れなくなる!!!」
「うるせえ!!お前のせいで1日気まずかった俺に謝れ!!!」