第48章 【番外編】エトワール
しょんぼりとした瞳には、うっすら涙が浮かべられていた。
「こんな無様な嫁はいらない、って言われたらどうします…?」
「言われねえよ」
「代々受け継がれた運動神経に私が終止符を打つんですよ?」
「なんだその心配」
あまりにも大袈裟な表現に呆れてしまった。
安心させるように、そっと背中を撫でると、肩にもたれてきた。
上から見下ろすと、あまりにも幼くあどけない顔に胸が締め付けられる。
もうすぐ成人とはいえ、未成年に手を出してしまった後悔が、本当に今更ながら襲ってくる。
毛布から手を出して絡められると、肌蹴たところから覗く鎖骨に昨晩付けた痕がいくつか。
濡れた髪がかかることで急にそこだけ淫靡に見える。
なんの考えもなく、そこに指を這わせると、冷たい。
「寒いだろ…」
もっとストーブに寄れと言いたかったはず。
「…あっためてください…」
なんて言われてしまったら、そんな言葉はもう飲み込むしかない。