第48章 【番外編】エトワール
新年会に顔を出すと、久々に会う名前も忘れた親戚に酒を進められる。
るるは近所の子供と遊びに付き合わされていた。
外で羽つきをしてくると出ていったが、次に会った時はびしょ濡れの泥まみれだった。
極寒の真冬でまずいだろうと言わんばかりの濡れっぷりだった。
「は?」
「ご、ごめんなさい、足を滑らせて…」
雪掻きした後の庭に突っ込んだらしい。
羽根つきとはそんなアグレッシブな遊びだったかとふと疑問が出る。
「お姉ちゃん下手くそ!!
ラリー2回しか続かないし」
「羽根見てねーもん」
「あれは取れるやつ」
口々にそう言われていてはたと気付く。
「そういや、お前が運動してるところ、見たことねえ」
「察してください、今」
るるは申し訳なさそうに風呂を借りて、申し訳なさそうに空き部屋で服を乾かしていた。
「へくちんっ」
と小さくくしゃみをして毛布にくるまる姿を笑わずにはいられない。
「運動出来ねえならやんなや」
「今ならやれると思ってました…」
「何をだよ」
「…もういいです」
短いくしゃみを2回続けて出すと、鼻水をすすってしょんぼりとするるる。
小さな子供みたいなその様子を横目に見て、隣に余った座布団を敷いて腰かけた。
子供の頃によく使っていた石油ストーブの音が静かに聞こえる。
「寒いか?」
「…うん」
「あったかいもん飲むか?」
「…ここに、いてください」
拗ねてすっかり甘えモードに入っている。
朝から緊張していた上に、こんな下手こいて、さぞ落ち込んでいるんだろう。