第48章 【番外編】エトワール
何ヵ月ぶりだろうか、この門構えをくぐるのは。
立派な門松を讃えて、ギリ正月はやってやる、と言わんばかりの簡素なその屋敷に足を踏み入れた。
名前すら危うい遠くの親戚含め、やっと本題を話すために祖父の部屋を訪ねる。
るるを招き入れ、カッチカチに緊張して二人で入った。
「…して、結納の日取りは……」
「いや、まだ…」
「…だからお前は甘いんだ!!」
158%、言われるだろうと思っていたことを全て説教され、反抗心すら消えていく。
記憶にすら残っていないその説教を一言で纏めるなら、
「仰る通りで……」
だった。
「おじいさま、はじめまして。
学生の身分である私を受け入れて下さり、有難うございます。
卒業するまでのあと3年、待って下さい。
繋心さんは、必ず、私が幸せにします!」
「それはお前の口から出る台詞だあっ!!」
近くにあった花瓶を全力で投げられ、寸でのところで避ける。
(こ、このやり取り、1年前にもしたな……)
とにもかくにも、反対はされていないことがお互い唯一の救いだった。
別室にうつると、安堵の笑いが二人で出た。