第46章 【番外編】スイート&ビター2
「そういえば」
帰り際、東峰は思い立ったように声を掛けてきた。
「ああ?」
ずっと我慢を強いられてたヤニを吹かしながら、ほれに応じる。
「コーチからるるさんに好意を伝えているのが想像出来ないんですが…」
「…あぁ?」
悪態で思わず返事をしてしまった。
振り返ってみて、いつも向こうから言ってくれているのを思い出す。
菅原にもそういやメールで言われたな、と反省をする。
ちゃんと言われたら納得するが、いざ、あの可愛い生き物を目の当たりにすると、照れ臭くて何も言えなくなるのはでかい本音だ。
「言わなくてもわかんだろ」
そう言って、何回すれ違ったか、と思い出してしまう。
不安になる、と何回も言われている。
その度に返しているが、それでもまた、無理に交際してるのではないかと思う自分がいると言ってくる。
それは、おあいこではないか?
こっちだって、そうだ。
それでもアイツはいつでも最中は、か細い声で、好きだと言ってくる。
「コーチが言われてても不安になるなら、言われない彼女の気持ちはどうなんですか?」
「…くそ、急に説教臭くなりやがって」
「余計なお節介ですけどね……それでも、1日くらい、お礼だと思って」