第46章 【番外編】スイート&ビター2
「正攻法じゃないんだけど……」
昨日、東峰くんから教わったことは、そんな一言から始まるテクニックだった。
「男性を刺激するのに使う感覚は、視覚、嗅覚、触覚なのはわかるよね?」
「…うん、そうかも…?」
「それと、いつもと違う雰囲気」
「雰囲気…?」
「例えば、普段はるるさんは可愛い系だと思うんだけど、大人っぽく見せるとか」
「…うん」
「るるさんの香りに近い香水を付けてみるとか」
「私の?」
「そう、なんとなくわかるんだけど、それは客観的に見た俺が選んだ方がいいのかも」
「う、うん」
「触覚は………ご、ごめん、そこは言わなくてもわかるよね…!」
「っ!!」
お互い真っ赤になって俯く。
なるほどなーと感心すると同時に、このスペシャリストに感動する。
「東峰くん……女の子何人泣かせてるの?」
「え!?そ、そんな!お付き合いすらまともに…!」
「嘘だー!」
「…そういうの、本とか小説とかで知らないうちに知識になっちゃうんだ…。
あと漫画とかも割と心理学とか使われてるだろ?」
「へー」
「ちょっとごめんね」
私の後ろに回った東峰くんは、すぐに戻って、
「るるさんはこういう香りが合うかも」
「そう、なんだ…」
自分の匂いなんてわからないから、少し恥ずかしい。
見本の小瓶を開けると、確かに懐かしい居心地の香りがする。
「あ、好きかも…」
「すごく薄くした方がいい。
1滴2滴垂らして、水で伸ばすくらい」
「そんなに?」
「そう、ちょっと助けるくらいがいい」
香水事態も、本来は薄めて使った方がいいものだと、やんわりと説明してくれて納得した。
新しく大人っぽい部類の下着は、恥ずかしかったので店員さんに選んで貰った