第45章 【番外編】スイート&ビター1
「あんまり物を持つタイプの人じゃないし、身につける物の方がいいんじゃない?」
「…なるほど…」
よく人を観察していて、よくわかっている。
「あとは…正攻法じゃないけど」
とコッソリ耳打ちされる。
「!!!!」
顔に一気に火がつく。
「……えっ!?」
「きっとそれが一番喜ぶと思うよ」
眩しい笑顔でそう言われる。
「そ、そんなことは…」
「物を貰って喜ぶタイプじゃないでしょ」
「うっ……はい……」
結局、私は言われた物を買って、そっとお店を後にした。
今日のお礼にと、東峰くんには、某有名カフェのキャラメル味のコーヒーをご馳走した。
「ありがとう!服まで決まったし、助かっちゃった!」
「お役に立てて何より」
「美味しい物食べよう、とは聞いたんだけど、1日どうするかとかはわからないんだよね…。
凄く楽しみなんだぁ」
「コーチもるるさんと出掛けられるだけで嬉しいと思うよ」
「本当に!?そうかな?そうだと、嬉しいな…。
他のことみたいに、面倒臭いって言うかと思ったから」
「そういう面倒なことも一緒にやりたいくらい、るるさんが大事なんだよ、きっと」
あ……。
そうか、そういう解釈も出来るんだ。
今回もきっと内心面倒だなんて思っているんだろうなと思っていた。
だから、無理しないでお家でもいいと思っていた。
私がいるからしようって打算的に思われてるんだって。
そんな風に、可愛くない考え方の私がいた。
でも、裏を返せば、そうかもしれない。
あの物臭な繋心さんが、雑誌とかテレビとかインターネットとかから情報を整理して、予約して、それだけで凄い労力なのに、まだ何か仕掛けてくれるらしい。
「私、ちゃんと愛されてるんだね」
買った物が、きちんと役目を果たしてくれるかは、まだわからないけれど、恩返し含めて、綺麗で可愛い自分でいたいと思った。