第44章 【番外編】鵺
「繋心さん……」
「パソコン」
「う……はい…」
申し訳なさそうに二つ折りの膝にのせているものを畳む。
「ごめんなさい……」
「うっせー」
細い身体を寄せてやっと冷静になる。
こんなんじゃガキじゃん…やってることかわんねーじゃん…って自己嫌悪する。
「一緒にベッド行きましょうか」
「……」
優しく促されて恥ずかしくて消えてなくなりたい。
さっきまで寝ていた場所にやんわりと押し込まれ、一回りも小さな身体がのんびりとしなやかに同じ場所に収まる。
「…落ち着きました…?」
「……悪い…」
「繋心さんかわいいー」
腰に腕を回され、胸板に頬擦りをされ、いたたまれない気持ちに息が出来ない。
なんて、大人げないんだろうか。
相手の包容力に、いくつも年上な自分は敵わず、目の前に手を広げて待ってくれている。
おかしい。
俺が、今日は休みたかったはずなのに。
ゆったりと手を伸ばして、そのザラついた背中に触れるだけで、頭が熱くなってくる。
「…っ!」
そんなつもり、全くなかったのに。
「繋心さん…疲れてるって…」
「疲れてる……」
「ん、じゃあ…、なん」
「お前が可愛いんだよ…」
「かわっ……!!!」
余裕なく赤くなる姿は少し前では見れなかっただろう。
段々と崩れていく彼女のでかくて固い防壁は、大部分を壊せたように思う。
「もう一回、言って…」
「絶対やだ…」
拗ねた顔を一度見せて、顔を胸に埋めてくる。
色々さっきまで思っていた濁った気持ちが、それだけで流れていく。