第41章 アップルアンドシナモン5
開けると3人の同じくらいの学生。
(前、徹さんいたからスムーズだったけど、今は…)
普通に、『お客様』として扱うか戸惑う。
「ウワサのるるちゃんじゃね?」
「どーもー」
「…こ、こんにちは!」
「思ったより可愛いじゃん」
(本当に人がいた…)
数年ぶりのこの感覚、恐怖心と戸惑いで背筋がひんやりしてくる。
以前は私の方が有利だったが、大学ともなるとそうはいかないだろう。
「るるちゃん、こっち見て」
「はーい?」
しゅっと何かスプレーを浴びる。
びっくりして噎せたけど、かなり吸い込んでしまったように思う。
(なんだろ、怖い……)
薔薇の甘い香りからすぐに薬の方だと察知する。
頭が熱くなる前に、危険を察知して一瞬冷静になる。
パーカーのポケットに入れておいたスマホを触る見られないように、こちらも見ないで操作しなくてはならない。
直前に連絡してたのは恐らく木兎さんか繋心さん。
二人とも連絡先を交換している。
「もう、やだぁ…。
そんなのなくても、私はすぐ靡きますよぉ」
じゅくっとお腹が熱くなってくる。
恐らく開いた適当なアプリなら、何かしらの連絡が飛んだはず。
(…だといいなぁ…)
一応確認しようとすると、案の定後ろから端末を取られる。
「おっと、連絡はダメだぞ」
「ごめんなさい、音が鳴りそうだったから…」
「もう使えなくなるんだからほら、置いて」