第41章 アップルアンドシナモン5
『帰ったらお揃いでつけましょう』
とペアのアルファベットストラップを写して送った。
「楽しかったぁ、案内してくれてありがとう」
「俺もるるとここでデートするのは夢だったんだ!!」
嬉しそうにそんなこと言われると、きゅんとしてしまう。
夜はもうすっかり秋で、ひんやりと肌寒かった。
寮の出入り口まで送ってくれて、改めてお礼を言う。
「今度お茶でもご馳走させて」
と笑って言うと、引き寄せられてぎゅっと抱き締められる。
「こっちでいい…」
「…っ」
「お前にそういうヤツがいるってわかってるけど、抑えられねえ!」
「…ごめんね?」
きゅっと高すぎる身長に合わせて腰に少しだけ腕を回す。
「また明日、ね?」
寮の自室に入って、少しの時間だけ、木兎さんのことを考えた。
菅原くんに告白された時も思った。
皆すごく素敵だ。私なんかには勿体ないくらい。
それでも私は、いつも考えているのは、繋心さんのことだ。
『通うのめんどくせえから1週間実家に帰る』
『わかりました』
繁忙期なのだろうか、相変わらず忙しそうにしている。
『声が聞きたいです、電話していいですか?』
すぐに掛かってくる。
優しい心遣いが暖かい。
『楽しかったか?』
「はい!」
今日の出来事を少しずつ話す。
少しめんどくさそうに煙草をくゆらせて聞いてくれる。
「繋心さん…?」
急に不安になって、名前を呼んでしまう。
「ねえ、会いたいの、私だけですか?」
『…早く帰ってこい』
そんな一言で、通話が終わる。
あと1ヶ月。
寂しさで死にそうだ。